かなのにうらるのブログ

小説・・・のつもり

閉ざされた心と共に 3

エリ―と会う約束をした次の日、エリ―から、地図がメールで送られて来た。
その地図を見てみると、エリ―が指定した場所は、俺が住んでいる場所から都心を挟んで、反対側にある住宅街だった。
その場所へは、今まで一度も行った事がなかったが、電車を乗り継いて行けば簡単にたどり着けそうだった。

エリ―から送られて来た地図を見るたび、俺の気持ちは昂った。
そして、顔は常にニヤ付いており、仕事場では△△課長に、
「顔がニヤ付いていて、とても気持ち悪い。」
と言われたが、そんな事も嬉しくなる程だった。

ただ、一つ気になる事は、エリーと会う約束をしてから、エリ―と音声チャットが繋がらなくなった事だ。
エリ―からも掛かって来ないし、こちらから掛けても、応答が無かった。
今まで付き合って来た感じから、エリ―が約束をすっぽかしたり、ドタキャンするような娘で無いことは判っていた。
それだけに、連絡が無いことで、エリ―が何か事件や事故に巻き込まれたのでは、と不安になっていた。

エリ―と会う約束の前日、エリ―から音声チャットに着信があった。
「ヒロ、久しぶり。
元気してた?」
いつものエリ―の声だった。
「ああ、元気元気。
エリ―はどうだった。
しばらく連絡が無かったが、大丈夫か?」
「うん、大丈夫。
ヒロと会う準備してたから、ちょっと連絡できなかったの。」
「そっか、じゃあ良いな。」
「うん。」
それから、しばらくエリ―と話をした。
話の内容は、いつもと同じく他愛も無いことで、エリ―の声もいつもと変わらず、明るく可愛かった。
「それじゃ、明日な。」
「うん、待ってる。」
そう言って、音声チャットを切った。
エリ―と話ができたことで、今までのちょっとした不安が払拭され、気持ちがとても落ち着いた。
その為か、その日はいつもよりも随分と早く、眠りに就いた。

約束の日の日曜日、俺は、今まで経験したことが無いくらい早くに、目が覚めた。
そして、時間をかけ、念入りに準備を済ませると、電車の駅へと向かった。
予め、時刻表で確認していた電車に乗り込み、エリ―の家の最寄り駅であるA駅に向かった。
A駅から、エリ―の家までは、徒歩で10分程だった。

エリ―の家の呼び鈴を押すと、男の声で返事が返って来た。
顔を出したのは、俺より少し若い青年だった。
「こんにちは。
俺、ヒロと言います。
今日、エリ―さんとお会いする約束で来ました。」
失礼の無いように、丁寧に、その青年に挨拶をした。
「ああ、姉ちゃんの彼氏さんですね。
ぼく、弟のマサキって言います。
どうぞ、入ってください。」
マサキと言った青年は、笑顔でそう言うと、俺を家の中に招き入れた。
そして、1階の一番奥の部屋へと案内した。
「姉ちゃんは、ここに居ます。」
マサキはそう言うと、部屋のドアを開けた。
部屋の中央には、大きめのベッドが置いてあり、そのベッドの上に、若い女性が一人寝ていた。