かなのにうらるのブログ

小説・・・のつもり

秘石の誘い

秘石の誘い 最終

昼休みになり、リョウは昼食を食べ終えると、シホを訪ねた。「先生、少し良いですか?」「ええ、何かしら。」シホは職員室の中で、授業で使う資料の、整理をしていた。その手を止めると、リョウを見ながら聞いた。「昨日のジロー、いえ、ザグルスの事ですが…

秘石の誘い 11

「あっ、そうそう。サナさんに、この指輪を渡しておくわね。」シホはそう言うと、スーツのポケットから、青い石が付いた指輪を取出し、それをサナに渡した。「綺麗な指輪ですね。」「ホント、とっても綺麗。」サナとケイは、シホが渡した指輪に付いている青…

秘石の誘い 10

ザグルスの姿が見えなくなると、今まで怖がって離れていた、サナとケイとリョウが、シホに近づいて来た。「先生、あの化け物は、ザグルスは、やっつけたんですか?」リョウが左の脇腹を押さえ、シホを見ながら聞いた。今まで感じていた、ザグルスの強い霊力…

秘石の誘い 9

「この口の悪い、礼儀知らずな霊たちは、あなたのお知り合いかしら?」シホはそう言うと、ザグルスを睨みながら、ゆっくりと近づいて来た。そのシホの姿を見て、ザグルスは強い恐怖を感じた。「ちっ、違う、知り合いでも何でもねぇ。そいつらは俺の霊力を使…

秘石の誘い 8

その時、ピシッピシッという高い音が、周りから聞こえて来た。その音を聞いて、ザグルスの表情が変わった。今までのニヤけた顔から、とても不安そうな、真剣な顔になった。「なっ、何だ。いつの間に、こんな結界が張られたんだ。」その不安をそのまま言葉に…

秘石の誘い 7

ザグルスのその姿は、サナとケイとリョウの3人に、ハッキリと見えた。リョウはザグルスに向け、木製の剣を構えながら、(これが魔族の力なのか。こんなに強い霊力は、今までに感じたことがない。)そう思い、体の震えを何とか抑えていた。 突然地面から、数…

秘石の誘い 6

「そうだったの。でも、ケイが無事で良かった。」サナはそう言うと、ケイにギュっと抱き着いた。「ありがとう、サナ。」ケイもサナに、強く抱き着いた。「ねえリョウくん。ケイが見た物が、何か判る?」少しして、サナはケイから離れると、リョウをジッと見…

秘石の誘い 5

ケイは、さっきよりも落ち着いたようだった。体の震えは収まっていた。サナに支えられながら、ゆっくりと体を起こすと、その場に座った。「わたし、何もしてない。ただ、夢を見たの。」ケイがいつもの口調で言った。「夢?どんな夢だ?」リョウが、緊張した…

秘石の誘い 4

次の日の朝早く、サナの携帯端末が鳴った。(もう、誰よ、こんな朝早くに。)サナは、寝ぼけた頭で、枕元に置いてある、携帯端末を取った。ケイからだった。「ふぁい、もひもひ。」サナは、寝ぼけ眼を拭きながら、携帯端末に出た。「サナ、お願い助けて。今…

秘石の誘い 3

「いや、忘れ物じゃない。二人に、忠告しに来た。」リョウが、淡々と言った。「忠告?」サナが緊張した顔で、聞き返した。「ああ。二人が今やってる、それな。今すぐ止めた方が良い。」リョウは、机の上に置いてある本を見ながら言った。「この霊力を調べる…

秘石の誘い 2

「石が入って無かったとなると、残念、サナには霊力が無いってことになるよ。」ケイが嬉しそうに言った。「えっ、そうなの?」サナが少し不満そうに言った。「うん。箱を開けると、中に石が入ってて、その石の色によって、持っている霊力が、どんな種類の霊…

秘石の誘い 1

サナは、都内の高校に通う女子高生である。今年、高校に入学し、同じクラスのケイと友達になった。ケイは高校への入学を期に、サナの家の近くに、隣の県から引っ越して来た。サナとケイは毎朝、通学で利用している電車の駅で待ち合わせをして、一緒に登校し…