かなのにうらるのブログ

小説・・・のつもり

閉ざされた心と共に

閉ざされた心と共に 最終

ロドス博士の工場から戻って2日が経った時、マサキからエリーが目覚めたと連絡が入った。俺は急いで、エリーに会いに行った。マサキはエリーが目覚めて、とても喜んでいたが、正直、俺はあまり喜べなかった。ロドス博士やジョンの事が、気になっていたから…

閉ざされた心と共に 15

「ジョン。何故、何故、お前まで、わしを置いて行くんだ。」ロドス博士がジョンを見ながら、悲しそうな声で言った。「博士。。。ぼくは、研究熱心で、優しい博士が大好きなんです。だから、もう、悪い事はしないで下さい。そしたら、ぼくは、いつまでも博士…

閉ざされた心と共に 14

「ロドス博士。ミサさんって、悪い事をして喜ぶような人なの?そうじゃ無いんでしょ。だったら、今すぐに・・・」エリーが、苦しそうに言った。そのエリーの言葉を聞いて、ロドス博士の顔色が変わった。「何も、何も知らないくせに、知ったような口をきくな…

閉ざされた心と共に 13

「キミたちは、わしにとって厄介な存在だ。特に、エリーさんは、ね。」ロドス博士が、またニヤけた笑みを浮かべながら言った。そして、少し間をおくと、話し始めた。「エリーさんは、どんなに強固なセキュリティで守られているコンピュータでも、簡単に入れ…

閉ざされた心と共に 12

大きなコンピュータの中に入ると、エリーはジョンを探した。「ジョンくん、何処に居るの?」エリーが、そう言いながらコンピュータの中を探すと、一番奥にジョンが居た。「ジョンくん、大丈夫?しっかりして。」エリーが、心配そうに声を掛けたが、ジョンは…

閉ざされた心と共に 11

工場の入口のドアを開け中に入ると、そこは少し広い何も無い部屋だった。その部屋の奥に、更に中へと入るドアがあった。そのドアを開け中に入ると広いスペースがあり、その奥に巨大な機械があった。それは高さと横幅が5m近くある大きな機械であり、所々、…

閉ざされた心と共に 10

ジョンから連絡があった日の、次の日曜日。俺はエリーと一緒に、ジョンが指定したA県B市に向かった。A県B市は、山に囲まれた小さな市であった。そしてジョンが指定した場所は、B市の中でも更に山奥へと入った、山間部であった。 B市へ向かう前日、エリ…

閉ざされた心と共に 9

「あっ、エリーさん、ごめん。博士が戻って来たみたいだ。また、後で連絡するよ。」少し慌てたように、ジョンが言った。「うっ、うん。」「エリーさん、悪いけど、このデータを持っていてもらえる。そうすれば、エリーさんが何処に居ても見つけることができ…

閉ざされた心と共に 8

「ぼく、この服を着ている人が好きなんだ。」ジョンがエリ―の姿を見て、嬉しそうに言った。「そうなの。それで、わたしの事をゴーストって言ったけど、どういう意味かしら?」エリ―が少し冷たく、ジョンに聞いた。ジョンは残念そうな顔をすると、目を伏せた…

閉ざされた心と共に 7

エリ―との音声チャットの通話が切れた後、しばらくマサキと話をした。エリーの両親のことや、マサキのこと、そして、エリーの幼い頃のことなどをマサキから聞いた。「姉ちゃん、今はあんな感じで、人と普通に話せてますけど、小さい頃は人見知りが激しくて、…

閉ざされた心と共に 6

「エリ―の心を、どうすれば体に戻す事ができるか、考えないといけないな。」俺が、考えながら言った。そして、ふと気になった事を、聞いてみた。「そういえば、マサキくんは、どうやって、エリ―に気付いたんだい。」「あっ、マサキで良いです。ぼくも、ヒロ…

閉ざされた心と共に 5

「上手く言えないけど、わたしの居る場所は、コンピュータや携帯端末の中なの。」エリーが、少し沈んだような声で言った。「そんな事って。。。」俺はそう言うと、それ以上、何を言えば良いか解らず、黙ってしまった。しばらく、俺もエリーも、マサキも何も…

閉ざされた心と共に 4

「えっ、この人がエリ―さん?」その女性を見て、驚いてマサキに聞いた。「はい、姉ちゃんのエリ―です。」マサキが笑顔で言った。ベッドで寝ている女性は、どう見ても、意識があるようには見えなかった。「姉ちゃん、2年前にバス事故に遭い、大けがをしたん…

閉ざされた心と共に 3

エリ―と会う約束をした次の日、エリ―から、地図がメールで送られて来た。その地図を見てみると、エリ―が指定した場所は、俺が住んでいる場所から都心を挟んで、反対側にある住宅街だった。その場所へは、今まで一度も行った事がなかったが、電車を乗り継いて…

閉ざされた心と共に 2

それからしばらくは、毎日同じ時間に音声チャットで、エリ―と話をした。そうしていると、ある事に気付いた。それは、エリ―が、殆ど愚痴を言わないことだった。「なあ、エリ―って、愚痴を言わないな。」何気なくそう聞くと、エリ―は、少し慌てたように言った…

閉ざされた心と共に 1

俺の名前はヒロ。27歳独身男性。都内の会社で働いている会社員だ。高校を卒業して上京し、都内の大学へ進学して、そのまま今の会社に就職した。いつまでも一人暮らしするのも寂しく、そろそろ結婚したいと思い、ネット上の出会い系掲示板に書き込みをした…