かなのにうらるのブログ

小説・・・のつもり

閉ざされた心と共に 13

「キミたちは、わしにとって厄介な存在だ。
特に、エリーさんは、ね。」
ロドス博士が、またニヤけた笑みを浮かべながら言った。
そして、少し間をおくと、話し始めた。
「エリーさんは、どんなに強固なセキュリティで守られているコンピュータでも、簡単に入れてしまう。
このコンピュータのセキュリティは、今まで誰にも破られた事が無かった。
しかし、エリーさんは、そのセキュリティを簡単に通り抜け、中に入った。
ジョンのログで確認していたが、実際に、それを見て、とても驚いたよ。」
ロドス博士は、少し驚いたような顔を見せ、言った。
「当然よ。
わたしは、電子データじゃ無いもの。」
エリーが、少し辛そうに、強い口調で言った。
するとエリーの姿のホログラフィが、ジョンの隣に映し出された。
それはジョンが勝手に映した物らしく、そのエリーの姿を見て、博士はとても驚いた顔をした。

「博士、もう止めて下さい。」
ジョンが、とても悲しそうな顔をして言った。
「ウルさい、お前は黙っていろ。
誰に、その命を助けてもらったと、思っているんだ。」
ロドス博士が、感情的にジョンに言った。
「もちろん、博士に助けて頂いたことには、感謝しています。」
ジョンが、ジッとロドス博士を見ながら言った。
「だったら、俺の言う事に従え。逆らうな。
それと、そのミサの姿を消すんだ。
今すぐに。」
ロドス博士は、強くジョンを指さし、激しい口調で言った。

ジョンとロドス博士が話している時、俺の携帯端末から、ジョンの声が聞こえて来た。
しかし、ロドス博士は、それに気付いて居ないようだった。
「ヒロさん、今です。
ぼくが博士の注意を引いておきます。
その間に、PSIシールド発生装置を止めて下さい。」
ジョンが、少し小さな声で言った。
「ああ。
だが、どれが、その装置なんだ。」
少し、キョロキョロと周りを見ながら、ジョンに聞いた。
「ヒロさんから見て、コンピュータの右端にある、冷蔵庫位の大きな灰色の箱です。」
ジョンに言われた方を見てみると、小さな緑色のランプが幾つか点いている、灰色の箱があった。
「あっ、あれだな。」
「テーブルの上に、ナイフがありますから、それで、箱の裏にある黒色の電源コードを切って下さい。
それで止まります。」
「解った。」
そう言うと、ロドス博士から少し離れた所にある、テーブルの上のナイフに向かって、ゆっくりと動き出した。

「これは、ミサさんの姿では無いんです。
エリーさんの姿なんです。」
ジョンが、ロドス博士に言った。
「えっ、何だって。
エリーさんの姿なのか。」
「ええ。。。
ミサさんにソックリな姿をしたエリーさんが、ぼくと同じコンピュータに繋がれたのは、偶然だと思えません。
だから、もう、悪い事は止めて下さい。」
ジョンは、少し潤んだ目でロドス博士を見ながら言った。
そのジョンの言葉を聞いて、ロドス博士は、少し俯いた。
「クッ、クッ、クッ、クッ。
ハハハハハハ、それは良い。
ミサに瓜二つなエリーさんが、わしのコンピュータに繋がれているとは。
確かに、偶然では無いな。
ミサが、わしを応援してくれている証拠だ。」
ロドス博士は、とても嬉しそうに、声を高くして笑いながら言った。
「博士。。。」
ジョンは、とても悲しそうな目で、ロドス博士を見ながら言った。