かなのにうらるのブログ

小説・・・のつもり

閉ざされた心と共に 11

工場の入口のドアを開け中に入ると、そこは少し広い何も無い部屋だった。
その部屋の奥に、更に中へと入るドアがあった。
そのドアを開け中に入ると広いスペースがあり、その奥に巨大な機械があった。
それは高さと横幅が5m近くある大きな機械であり、所々、緑色や赤色に光っていた。
大きな機械の前には会議用のテーブルが置かれており、そのテーブルの上にもパソコンや見た事も無い機械が、いくつも置いていた。
そして、テーブルの前には、少し背が高く、白髪で初老の男性が、背を向けて座っていた。
初老の男性は、テーブルの上の機械を、熱心に触っていた。

「博士、エリーさんとヒロさんが来ました。」
突然、大きな機械が喋った。
それは、ジョンの声だった。
「ん、そうか。」
博士と呼ばれた初老の男性は、顔を上げると大きな機械を見た。
そして、ゆっくりと立ち上がり振り向いた。
博士は、俺を見ると、少しニヤリと笑った。
俺は周りを警戒しながら、ゆっくりと博士に近づいた。
「キミがヒロくんかね。」
「初めまして、ヒロです。
今日は、ジョンくんに会いに来ました。」
俺は、緊張した顔で、博士を見ながら言った。
「よく来たね。
エリーさんは、何処かな?」
博士は、俺をジッと見ながら言った。
「ここに居ます。」
そう言って、携帯端末を少し博士に見せた。
「そうか、その中か。」
博士はそう言うと、ニヤッと笑った。
「初めまして、エリーです。」
俺の携帯端末から、エリーが挨拶をした。
「初めまして。
エリーさんにお会いできて、とても嬉しいよ。」
そう言った博士の顔は、ニヤつき、何処か不気味な感じがした。
エリーも、その雰囲気を感じ取っているようだった。

「わしは、ロドスと言ってな、ここの家主なんだ。」
ロドス博士はそう言うと、テーブルの上に置いてあるパソコンを操作した。
すると、ロドス博士の直ぐ隣に、ジョンの姿が現れた。
「これは、ただのホログラフィだがな。
後ろにある、あの大きなコンピュータで制御しているんだ。」
ロドス博士が、ジョンのホログラフィを見ながら言った。
「この大きなコンピュータは、ロドス博士が作られたのですか?」
大きなコンピュータを見ながら聞いた。
「ああ、試作品だが、いろんな機能がある。」
ロドス博士が、少し嬉しそうに言った。
「じゃあ、ジョンは、あの機械に繋がれているのですね。
ジョン、今日は何故、俺とエリーを呼んだんだ?」
ジョンのホログラフィを、ジッと見ながら聞いた。
しかし、ジョンは何も答えなず、身動き一つしなかった。
それは、まるで意識を失っているように見えた。
「ジョンくん、どうかした?」
エリーが、不安そうに聞いた。
しかし、ジョンは何も答えなかった。

「ジョン、どうした?
ヒロくんやエリーさんに返事をしないとは、失礼だぞ。」
ロドス博士が、ジョンのホログラフィを見ながら言った。
しかし、ジョンは、変わらず、何も答えず、身動きもしなかった。
「どうやら、急にジョンの調子が悪くなったみたいだな。
エリーさん、すまないが、コンピュータの中に入って、ジョンの様子を診てもらえないか。
無線通信の回線は開いているから、エリーさんなら入れるはずだ。」
ロドス博士が、少しニヤついた顔で言った。
「えっ、ええ。」
エリーが、少し不安そうに返事をした。
そして、ジョンが繋がれている大きなコンピュータの中に入った。