かなのにうらるのブログ

小説・・・のつもり

秘石の誘い 2

「石が入って無かったとなると、残念、サナには霊力が無いってことになるよ。」
ケイが嬉しそうに言った。
「えっ、そうなの?」
サナが少し不満そうに言った。
「うん。
箱を開けると、中に石が入ってて、その石の色によって、持っている霊力が、どんな種類の霊力かが解るんだって。」
ケイが本を見せながら、サナに言った。
「そうなんだ。」
サナはケイが見せた本を、チラリと見ながら言った。
「うん、でも、石が思い浮かば無かったとなると、サナには霊力が無いってことになるんだって。
実は、わたしも石が思い浮かばなかったんだ。」
ケイが、少し照れながら言った。
「なんだ、そうなの。
じゃあ、わたしと一緒だね。」
サナが嬉しそうに言った。

「うん、何度か試してみたけど、全然、石が思い浮かば無くって。」
ケイが言った。
「でも、諦めずにやってたら、そのうち、石が思い浮かぶように
なるかもしれないね。」
サナが、少し笑いながら言った。
「そうだね。
じゃあ今日の放課後に、二人で練習してみる?」
ケイが、とても楽しそうに言った。
「いいね、やってみよう。」
サナも、とても嬉しそうに言うと、ケイの手を握った。

その日から、二人は学校の授業が終わると、教室に残り、霊力を試す練習を始めた。
1週間練習してみたが、二人とも石は思い浮かばなかった。
「やっぱりダメだね。」
ケイが、少し疲れたように言った。
「うん、わたしたちには、霊力がまったく無いのかなぁ。
どうしよう、もう止める?」
サナも、残念そうに言った。
「うーん、もうちょっと続けてみよう。」
「うん、じゃあ、次の金曜日まで。
あと2日間だけやってみる?」
「そうだね。
それで、ダメだったら、止めよう。」
「うん。」

そう約束した次の日、いつも通りに放課後の教室で、霊力を試す練習をしようとした時、教室のドアが開いた。
そして、同じクラスのリョウが入って来た。
リョウは、同じクラスの男子で、痩せ型で背が高く、少し冷たい目をしていた。
いつも、周りを冷静に観察しており、あまり話をしない為、一人で居ることが多かった。
「よぉ。」
教室に入って来ると、リョウはサナに言った。
「リョウくん。。。
こっ、こんにちは。」
サナは、リョウを見ながら、緊張した顔で言った。
リョウは、サナの隣に座っているケイを見た。
「こんにちは、リョウくん。
何か、忘れ物?」
ケイも、少し緊張して聞いた。
サナもケイも、リョウと話をするのは、この時が初めてだった。